コントロール その3:力を抜く方法

今回は、『 力を抜く 』について僕の考えをまとめておく。

その前に、基本となるコントロールの定義を確認する。

【 コントロールとは 】
・左右どちらにも、早く速く蹴れる場所に止める
・パス・シュート・ドリブルどれにでも対応出来る場所に止める

【 コントロールが重要な理由 】
正対する相手に距離をとらせ、時間・距離・選択肢の余裕を作ることが出来る
※詳しくはこちら  「 正確なコントロールがつくる余裕 」

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さて、なぜ 『 力を抜く 』 とボールを止めやすくなる のか?
なんとなく分かってるような分かってないような…

これは、僕も、そして多くの指導者の方々も良く使うフレーズだと思う。

「 コンクリートの壁 と 布団 どっちがボールが止まる? 」

選手達は「 ふとん~ 」と答える。もちろん正解!!

ただ、この後のやり取りや印象、想像は気をつけなければいけない。そこに大きな落とし穴が潜んでいる。落とし穴に落ちてしまう連想は以下のようになる。

『 布団は止まる ⇒ やわらかいから ⇒ やわらかいと勢いを吸収するから 』

ここまでの連想は正しい。しかし、この先を次のように連想し指導してしまうとややこしくなる。

『 足で勢いを吸収しなければいけない ⇒ ボールの勢いに合わせて足を引こう! 』

この連想は、「 物干し竿に干された布団に思いっきりボールを蹴りこむと、ボールが布団へめり込みボールが下に落ちる 」 シーンから生まれる。あたかも、 ボールの勢いにあわせて布団自らが引っ込んでいるように錯覚する のかも知れない。

当然これは大きな間違い。布団が自分の意思で引っ込む訳がない。先ほどの連想のところで書いているが、布団はただやわらかいだけ である。

つまり、やわらかいから勢いを吸収することができる のであって
意図的に引かないと勢いを吸収できないわけではない!

 
では、足でどうやって勢いを吸収するのか?

ポイントは 『 足首と膝 』

この足首と膝の ” 関節 ” を使って吸収する。 人間の間接はショックを吸収するように出来ている。 左から来たボールを、右足インサイドで止めるシーンを想像してみる。力を抜いた状態であれば、ボールが当った瞬間つま先が右側に向く。膝も右側に動くし、股関節から右側に押されるかもしれない。正面から来たボールを受ければ、布団が後ろに引っ込むのと同じ原理。

逆に固定していれば、金属バットと同じで弾き返してしまう。インサイドキックをするとき、足首を固定して蹴るのは、ボールを弾き返す必要があるからである。これも全員がもっている仕組み。

 
つまり、 力を抜くことで、足首・膝などの関節を固定しないようにする。
そうすれば、 ” ある程度の ” 勢いを吸収することは出来る。

だから、 『 引く 』 なんてことは考えなくても良い 。

引くという技術を使ってボールを止めることは想像以上に難しい。様々な速さ、様々な球質のパスに瞬時に対応することは至難の技。さらに、コントロールしようと思えば、それはそれは超繊細な動きが必要になる。そんなことを極められる選手なんているんだろうか?コントロールが出来なければ、次のプレーに移るスピードにも影響が出る。余裕が無くなり、ボールを失う危険が高まる。ボールを止める大会であればいいかもしれないが、サッカーゲームの中では利用できるシーンは限られてくる。

それに比べ、『 力を抜く 』 ことはとても簡単に出来る

それじゃ、どうすれば力が抜けるんだよ!という声が聞こえてきた。
 

次の2点を意識する。

1つ目は、 『 止めることに 自信をもつ 』 こと。
その為に、その2で書いたような、簡単に止めることが出来るということを体験しておくことが重要。どんな止め方でもいいから、止めれるられるという意識を持つ。ボールを止めることに緊張をしていたら、体に力が入ってしまうのは当然。
「君は止められるんだから緊張しなくていい」と声をかけ、「そうだ、止められるんだ」と選手が納得する。そんな根拠を選手と共有できていることが重要。

2つ目は、その2で書いた止め方にヒントがある。
何をしているかというと、『 ジャンプ 』をしている。体ごと軽くジャンプしたとき(浮かせたとき)体に過度の力は入らず、脱力状態になりやすい。ラジオ体操のジャンプ運動を思い出せば分かるだろうか。表現が難しいが、無重力状態のような感覚になるように軽く体を浮かしてみる。具体的には、 軸足で背伸びをしてみよう

どうも最後が、心理的なものだったり、感覚的なものでシックリとまとまらないが、まずは 『 軸足で背伸びをする 』ことで、力が抜ける感覚を掴むようにすればいい

 
まとめ:

 止める自信がある選手が背伸びをすれば、力は抜ける!

さて、力を抜くことで、足首と膝関節を使って ある程度の 勢いを吸収することが出来ると書いた。次は、その、” ある程度 ” を補完する為のもうひとつの技術 『 着地の瞬間 』 について記録する。

 
 
補足:
胸やもも、頭やインステップなどで浮き球を空中で触れ保持にするためには、ボールの勢いに合わせて引き、勢いを吸収する技術は重要である。引く技術が不要だと言っているわけではない。ただ、狭いスペースでボールを動かし続け、相手と駆け引きをし続けるサッカーをする為には、引く技術を使ったコントロールでは無理だという結論に至った。
 

Author: tademako

One Response to “コントロール その3:力を抜く方法”

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